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1990年から旅したヨーロッパのイロイロな街と20世紀末の下北沢を、写真と文章で紹介していきたいと思います。


by KaZoo

「2019California Episode 01:旅立ち前から、血圧が急上昇してしまうのだった…!」

2019年連休前、僕は「バークレーに行くぞ!」と心の中で叫んだ。でも、できることなら金をかけたくない。ということで、サン・フランシスコ1都市だけの安いツアーを探すことにした。本当はツアーなんてイヤだけど、この際だからサン・フランシスコのホテルに泊まって、バークレーには地下鉄BARTに乗って日帰りしようと考えた。BART=正式には「Bay Area Rapid Transit」。僕が初めてバークレーを訪れた1975年頃はすでに開通していた。

安いツアーはある。でも乗り継ぎがあって、サン・フランシスコ到着は夜。サン・フランシスコは知らない街ではないけど、夜間にホテルまで自分で移動するのはちょっと面倒。TAXIを使えば簡単だけど、それもなんだか勿体ない。さらに格安ツアーとはいえ、できることならマイルだって貯めたい。ということでスター・アライアンス系の航空会社で選択。

5月後半に19万円「サン・フランシスコ7日」というツアーがあった。機内泊が1日あるからサン・フランシスコには実質5泊。航空会社はユナイテッド。スター・アライアンス系だからマイルも貯められる。空きがあるか確認。するとすぐに返信がきて、総額で30万円以上になると分かった。うむ、安くない…!だったら全日空のサン・フランシスコ直行便を探してみよう。

全日空で調べていたら、5月21日成田発/5月26日サン・フランシスコ発の往復便が14万円と判明。これは安い。早速航空券をゲット。次にバークレーのホテルを検索。可能なら大学から続くメイン・ストリートであるテレグラフAve.に近いホテルが希望だけど、宿泊料も高く思い通りのホテルが見つからない。

希望予算としては1泊1万円近辺。今までヨーロッパを旅してきた時、僕はいつも€70プラスマイナス€10を基準としてホテルを選んできた。バークレーではイロイロ探した結果、大学からそんなに遠くなく、しかもBART駅からも便利なホテル「Travelodge」に決めた。宿泊代は3泊で$532.95($1=111.51として¥59,429)。これに地方税や宿泊税が加算されるから6万円は超す。1泊2万円以上は予算オーバーだけど、だからと言ってロケーションや治安が悪かったり、浴室が共同とか狭い部屋はイヤなのでこれでOKとする。

残り2泊はサン・フランシスコで探す。サン・フランシスコでは訪れたい場所が2カ所ある。ひとつは1960年代後半、ヒッピー・ムーブメントの花が咲いたヘイト・アシュベリー地区。もうひとつは坂の街に美しく優雅な佇まいを残す優雅な家々が建ち並ぶパシフィック・ハイツ界隈。

ガイドブックの地図を見ながら、ヘイト・アシュベリーとパシフィック・ハイツへの移動が便利で、なおかつBART駅に近い場所はどこか…?それがホテルの条件。あった…!観光客でごった返すパウエル・ストリートより1つ先の、シヴィック・センターが第1候補。

次にシヴィック・センター近辺の値頃なホテルを検索。ホテルは高いことが分かっていたので、希望金額はちょっと上げて1万5千円以内。シヴィック・センターからメイン・ストリートのハイドSt.をちょっと北に上がって、ユニオン・スクエアの方から続くエディーSt.と交差する場所「テンダーロイン」と呼ばれる地域に、値頃なホテル3つ星のホテルがあった。

ロケーションも便利そう。宿泊代は2泊で$257.58(¥28,722)。そんなに悪くない。最寄駅も遠くない。BARTはサンフランシスコ国際空港に直結しているので帰国時にも便利。ということで早速予約。これで5泊のホテルは簡単に予約終了。

数日後、マリッジ・ブルーみたいな憂鬱に襲われる。旅立ちが近づくと、必ず僕は意味もない憂鬱に襲われる。今回は機中泊も入れて5泊7日、短いとはいえ拳銃の横行するアメリカ。いままで何度か旅したけど、ジワジワと意味なく恐怖が襲ってくる。

バークレーは大学町だ。僕が知っているのは44年前だけど、そんなに治安も悪くないはず。だけどサン・フランシスコは大都市。サン・フランシスコの危なそうな地域とか情報が気になり始めた。僕はテキトーでイイカゲンに見えるけど、結構繊細で臆病で用心深い。

まず「サン・フランシスコ、危険情報」などで検索。まさか…?とは思ったけど、ゲゲッ…!予約したホテルのあるテンダーロイン地区は、何とサン・フランシスコでも筆頭に出るほど危険な地域だという。以下は検索して出てきた怖ろしい情報の一部。思わず体が震えた。

  「絶対に行ってはいけないエリア“Tenderloin(テンダーロイン)”は、日中でもほとんど人が歩いていません。というのも、ここのエリアは、ホームレスに加え犯罪者も多く、ドラッグの売買なども行われているからです。」

  「シビックセンターの周辺には治安が特に良くない“テンダーロイン”という地域があります。ここは犯罪者やホームレスが多く、夜間は違法ドラッグの売買などが行われる危険な地区です。旅行者は昼間でも立ち入ってはいけません。」

  「テンダーロインはサンフランシスコで一番危険な区域と言われています。テンダーロインはステーキの名前です。“なぜサンフランシスコのこの地域がステーキと関係あるの?”と思い調べてみたところどうやら“この地区を担当する警察官にはボーナスが支給され、そのボーナスでテンダーロインが食べられるから”だそう。誰も担当したがらないために、担当させるためのご褒美としてボーナスを出すという事実から見ても、危険度が露呈していますね。初めて立ち入ったテンダーロインはやはり不気味でした。何が出るのかわからなかったので終始警戒していました。」

「2019California Episode 01:旅立ち前から、血圧が急上昇してしまうのだった…!」_f0360599_07552137.jpg

などなど、明るく楽しい情報はない。ガイドブック『地球の歩き方』にも注意を喚起する言葉があった。テンダーロインが安全な地区ではないと分かった瞬間、急に血圧が上がる。実際に測ってみたら、ガガガ・ガビィ〜ン!驚く数値が出ていた。心臓も、ドッキンドッキン!高鳴っている。旅立ち前でこれだと、実際にサン・フランシスコに行ったらどうなるか…?怖くなった。

ホテルを変えるしかない。といって予約したホテルをキャンセルするには、予約した2日分の宿泊料と同額のキャンセル料、約3万円近くが取られる。それは勿体ない。でも、命までは大げさとしても、もしかしたらイヤな思いをさせられるかもしれない。事前にそれが分かっていて何もしないというのも愚かしい。

まずは代替ホテルを探す。同じサイトから比較的に安全な地域で、そんなに高くないホテルを選び出す。不便な場所は避けたい。たったの2泊。ユニオン・スクエア辺りも完全に安全とは言えないけど、ダウンタウンの中心部で観光客も多い。BARTのパウエル・ストリート駅も近い。あった、ヒルトン・ホテルだ。2泊で$355.30(=¥39,619.5、税別)はちょっと予算オーバーだけど、納得できない金額でもない。

キャンセル料なんて無駄な出費だけど、生命や精神の安寧の方が優先される。何たってもう若くない。高い血圧が原因で病気になったことは今までなかったけれど、これからは自分の体に何が起こるか分からない。旅立ち前だってのに、まさに「君子危うきに近寄らず」そんな心境になってしまった。


by 1950-2012 | 2019-06-20 07:57 | ヨーロッパ 旅 紀行 | Comments(0)